前回の数の子の歴史の中で少し触れた、数の子が「子孫繁栄」の縁起物とされる理由ですが、数の子の粒の多さ、すなわち二親(にしん)から多くの子(卵)が生まれることが子孫繫栄に結び付くといわれるのが一般的です。
しかし、子孫繁栄といわれる理由はそれだけではないのです。
それは・・・
『親が死んでも子は育つ』
だから子孫繫栄なんです。
じつは、ニシンは漁獲した後もお腹の中で卵が育つのです!
冷蔵設備が整っていない昭和の半ば、北海道の端から端まで当時は貨物列車で4日かけてニシンを運びました。
当然ニシンの鮮度が落ちて数の子にも悪影響を及ぼすと思われましたが、なんと数の子は逆に輸送の間に育ってパリパリになり、質のよい成熟子になったのです。
まさに、親が死んだ後も子は元気に育ったのです。
これが子孫繁栄たるもう一つの理由です。